2006年04月22日

●78.final

初投稿なので、やっぱり甲子園について。

1996年の夏の甲子園は近年では珍しい程に強豪校が生き残らない大会となりました。例を挙げれば、
97、優勝 智弁和歌山、準優勝 平安
98、ベスト8 PL学園、ベスト4 明徳義塾、優勝 横浜
99、ベスト4 智弁和歌山
00、優勝 智弁和歌山
01、ベスト4 横浜、優勝 日大三
02、優勝 明徳義塾、準優勝 智弁和歌山
03、優勝 常総学院
などなどなど・・・。(駒大苫小牧、済美らの出現によって高校野球界の構図が大幅に変わったため、それ以降の2年間は除いています)
そんな中、1996年の決勝の朝、甲子園にやってきたのは熊本代表の熊本工業、愛媛代表の松山商業、両古豪と呼ばれるチームでした。両チームともに近年の例で挙げると松坂やダルビッシュのような図抜けた選手がいたわけではなく、チームワークを最も全面に出したチームでした。
試合は1回表、松山商業が押し出し四球などを絡めて、3点を先取しました。
対する熊本工業も、2回、8回に1点ずつを加え、3-2と食い下がります。というよりよく2回以降の松山商業の攻撃を0におさえていた、というべきでしょう。
と、ここまではよくある守り合いのテンポのいいゲームです。この日の甲子園にやってきた48000人の観衆も手に汗握る展開というよりはこのまま松山商業が逃げ切る展開と感じていたのではないでしょうか。
しかしこのゲームのハイライトはここから。
9回裏、熊本工業は2者連続三振で2アウト。松山商業は5度目の優勝に大きく近づき、観衆からも「あと1人」コール。バッターは6番、1年生、沢村。初球。
影になったホームベース付近がテレビ画面では見づらかったことを今でも覚えています。一瞬どこに打球が行ったのやら、と。切り替わった画面のど真ん中にボールは、レフトポールの右へと飛んでいたのです。
3-3。瞬間、大優勝旗は熊本工業に初めてもたらされることがほぼ確定的になりました。9回裏は何とか踏ん張ったものの、延長10回裏、熊本工業は先頭に2ベース、送りバントの後、2者を敬遠。1アウト満塁として3番、本多。マウンドは新田から渡部に代わっていました。そして、その渡部がいたライトには控えの矢野。後は、サヨナラを待つばかり。再び、初球。
今度の打球はライトに上がりました。打った瞬間、バッター本多はガッツポーズ。同時に熊本工業ベンチも全員ガッツポーズでベンチを飛び出しました。犠牲フライに十分だったからです。取った矢野はバックホーム。しかし、レーザービーム、とは行かず、山なりに。ABCアナウンサーの「優勝へのタッチアップ!」の絶叫の中、しかし、返球は大きく風に乗って、グンと加速。そのままキャッチャーミットにストライク。ランナーは優勝を確信してそのミットをかわす事無く、スライディング。
球審のアウトのコールと共に、アウトーー!と家で叫んでいたのを今でも思い出します。ダブルプレーとなって流れはもう1度、大きく松山商業へ戻りました。11回表、松山商業は1回以来の得点を3点加え、延長11回、6-3でそのまま5度目の選手権大会優勝を達成しました。

これが私のその後の甲子園マニアとしての人生を歩む、記念すべき第1歩となりました。過去から現在、そして未来へと繋がる甲子園球場に刻まれた球史を解きほぐす作業は私が死ぬまで続く事でしょう。ああ、早く夏が来い・・・!

かなり細かい解説。

甲子園:当たり前ですが、高校野球の聖地の方を指し、トラの聖地の方ではありません。住所は兵庫県西宮市甲子園町1-82。

押し出し:満塁のケースで四球、死球が発生した時に、ランナーが1人帰ってくる事。これによって幾多のドラマが生まれてきました。

48000人の観衆:甲子園の座席数は実質47000~48000程度で、発表48000ならおよそ43000人を超えている程度。発表50000人の満員であればおよそ47000人程度。40000人を超えた夏の甲子園はサウナと化します。

敬遠:4球全て、わざとボールを投げて、1塁へ打者を歩かせる事。松井の5打席連続敬遠などで逃げの手として知られますが、本来はこのケースのように塁を埋めた方が守りやすく、また3塁ランナーしか試合に関係のない時(3塁ランナーが帰ればサヨナラでゲームが終わるからです)に用います。満塁で敬遠したり、敬遠球をサヨナラヒットしてみたり、この作戦だけでもお茶碗何杯分かの話ができます。

犠牲フライ:0、1アウトでランナーがいる場合、打球がフライアウトになった後、ベースにタッチして次の塁に進む事が許されています。この時、ランナーがホームを陥れる事が出来れば打者のフライアウトは犠牲フライという名前に切り替わるのです。2アウトじゃなくて3塁にランナーがいる時はスクイズと同時に、外野にボールが行くかどうかを気にしましょう。

ダブルプレー:一度のプレーで2つのアウトをまとめて取る事。内野ゴロや外野フライ、時には三振でも起こるが、ランナーがいなければ絶対に発生しないプレー。このプレーを3、4回やってしまったチームはまず勝利できません。それだけ流れに大きく影響するのです。

コメント

第85回全国高等学校野球選手権大会出場の横浜商大高校は、家から50mの場所にあったりする。
まぁ、何度か出ている高校ではあるが、地方予選を行ったときには松坂相手に25-0という完封劇をやってのけてしまった。
そう考えると松坂ってすごいよね。今シーズンも調子いいし・・・。

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