●「2006 FIFA World Cup Germany」総括
今大会のキーワードは『守備力』。ベスト4に残ったチームのうち、3チームがディフェンスを得意とするチームであった。イタリアは伝統の「カテナチオ」と呼ばれる強固な守り、フランス、ポルトガルは運動量にまかせた組織的な守備を得意としている。ドイツは伝統の「皇帝サッカー」で、MFバラックを中心としたチームだが、決して守備が弱いわけではない。
ベスト4のそれぞれのチームをちょいと解説。
『優勝 イタリア』
伝統のカテナチオから進化したカテナチオへ。南京錠からオートロックへ。のようなものか。守備に人員を割いて、1-0で勝つことを美しいとしていたイタリアサッカーが進化した。DFのカンナバーロを守備のエースとし、相手のエースをことごとくつぶしていく。MFのガットゥーゾは運動量が豊富で、攻撃に守りに大活躍。攻撃の起点はトッティ。その前にいる、イタリアリーグ得点王のトーニや、デルピエロ、インザーギ、ジラルディーノ等のFWがゴールを狙う…。極めつけはGKのブッフォン。スーパーセーブの連発で、最後の砦として立ちはだかった。まさに完成されたカテナチオサッカーである。この鉄壁の守備陣は、大会を通じてオウンゴールを含むわずか2失点できりぬけ、攻撃は10人で12ゴールを決めるという全員サッカー。結果論で言えば、チームとしてすべてが完成していたのはイタリアだけだった。だからこそ優勝したのではないだろうか。
『準優勝 フランス』
よくもまぁ決勝まで出てこれました。地区予選でのあまりの体たらくで引退を宣言していたジダンが代表復帰。W杯予選でもスイス、韓国に引き分け、最終戦のトーゴでようやく勝ち、なんとか決勝リーグに出てこれたというチーム。そう考えると、今回のW杯の中で1番のツキを持っていたチームだろうな…と思われる。チームの中心はいうまでもないがMFジネディーヌ・ジダン。イングランドのプレミアリーグ得点王アンリがゴールを狙い、守備は組織力。相手の1人がボールを持ったら、まわりのDFが3人で囲み、ボールを奪うというチーム力が必要なディフェンスだが、これが機能していた。運も調子もよかったが、最後はイタリアの底力に負けたかな、といった感じ。なぜシセを出さなかった。
『3位 ドイツ』
中心選手はMFバラック。攻撃の起点であり、同時に得点元でもあるドイツの皇帝。ドイツの原動力は攻撃陣である。3位決定戦でミドルシュートを連発したMFシュヴァインシュタイガー、いかにも名前からして強そうなMFシュナイダー、得点王のFWクローゼ、その相棒FWポドルスキー。得点能力に関しては言うことなしである。が、守備力はもう少し…といった程度。GKのレーマン、カーン両選手はスーパーセーブを連発した。今大会においてのドイツ最大のみどころは、優勝候補のアルゼンチンを破ったことであろう。
『4位 ポルトガル』
今大会のNO1サプライズ。40年ぶりの決勝リーグ進出というからたいしたものだ。チームとしてはフランスによく似ている。組織的な守備力を中心とした守備的サッカーだ。フランスとの決定的な違いはオフェンスのパターンだ。フランスはジダンを中心としたスルーパスを狙うオフェンスだが、ポルトガルは1対1からのオフェンスである。MFのクリスチアーノ・ロナウド、同じくMFのフィーゴは世界屈指のドリブラーであり、シュート力もある。フィーゴは今大会で引退が決定しているが、クリスチアーノ・ロナウドを中心とした若い力が芽吹いてきているので4年後は期待◎。
とまぁ、決勝戦の表彰式が終わったのが午前6時、6時半に学校へ出発する俺は学校から帰ってもなかなか寝付けなくてこんなことを書いてみた。
『おまけ 日本』
走れない。パスセンスがない。打たない。いいところは…どこ?強いて言えばスピードがあることか。活躍した選手…?よく動いていたのは中田で、GK川口はカンがさえていたかな。玉田はよかったね。彼は評価に値する動きを見せてくれた。巻は及第点。ブラジル戦のみの出場では判断がしにくいかな…。
中田が引退しました。4年後はどうのような布陣になるか。予想してみましょう。
FW:巻、玉田
MF:中村、松井、加地、稲本、福西
DF:宮本、中澤、坪井
GK:川口
現状で考えられるのはこんなもん。大黒、サントス、茂庭あたりの成長があればなお○。とはいえ、試合を走りきれないことには何をやっても無駄なので、ともかく体力をつけて欲しいと思う。