●『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ
岩波文庫・赤、413p
夕波から借用。
ラムジー一家は灯台に暮らす灯台守(何だか可笑しな表現ではあるが)を訪問する訪問する、と言いつつその機会はなかなか訪れない。
若い女画家は思うような絵が描けない。そして売れない。
一家の子供たちは父親から精神的に圧迫される。
そうこうするうちに月日は流れ、一家のうち何人かが死別。
そして一家は灯台へ……
そんな感じの話。
夕波は伏線の作り方が上手いと言っていたが、特別そういった感は受けなかった。
ただ、物悲しくも美しい語りは読んでいてなかなか良かった。
手近に斧か火かき棒があれば、あるいは父の胸に穴をこじ開け、その時その場で彼を殺せるようなどんな武器でもあれば、ジェイムズは迷わずそれを手に取っただろう。
16274p/42195p