2007年03月07日

●『海の沈黙・星への歩み』ヴェルコール 

放置していた分の投稿。


岩波文庫・赤、170p

 わからないから読んでみろ、と勧められて読んだ本です。
 確かにわかりません。特に後半収録の『星への歩み』の方は読み終わって解説を読んでなんとか筋が?めた、という程です。

 舞台は共に、第二次大戦下、ドイツ軍に占領されたフランス。
 まずは、第一次大戦の終了から第二次大戦開始、ドイツ軍占領に至るまでのフランス・ドイツの歴史を知らないことには読むも何も始まらない。
 さらに、上っ面の歴史を知っただけでは理解しきれない部分も多数あるという気がした。こうなるとフランス史の研究者でもなく、フランス育ちにあらざる我々としてはどうしようもない。読むにあたっての大きな溝がある。
 まあ仕方ないか、といった感覚で読み進めていくしかないのだ。

 参考には第二次世界大戦ヴィシー政権あたりを見ると良いのではないだろうか。
 
 作者は元画家、ドイツ占領に遭ってから作家に転向したとのこと。
 このあたりの事情は同じく画家作家のシュティフターとはまるで違うが、やはり場面場面が絵として脳内再現されやすいそして複雑なストーリーは書けないらしいという点では共通していそうだ。

 内容を一言で要約すると、「ナチ……おまえは狂っているっ」
 元々まともであった人間も国によって汚染され、辛うじて思想の毒牙を逃れたもの達には国の洗脳を受けた輩、そして戦火が襲い掛かる。
 それは占領国ドイツ、被占領国フランスともに変わらない。
 有名なユダヤ人迫害などとはまた違った形の圧政を見ることができる。

 この辺の世界史には詳しいぜ、という人は読んでみるのもアリ。

28318p/42195p

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